新入社員トレーナー/トレーニーのための、育て方/育ち方
|||みっちり基礎? とりあえず実践?
新入社員の皆さんは、まだまだ余裕が無くて、どのように自分が育っていくべきかまで、考えられない人もい多いでしょう。夢中で働いていたら、いつの間にか実力がついていた――それは、ひとつの理想の形だとおもいます。
新人教育を担当されている方は、とっても大変ですね。お疲れ様でございます。会社がカリキュラムを用意してくれていたら良いのですが、なかなかそうはいかず、OJTという名の下、丸投げされて途方にくれている方もいらっしゃるかもしれません。
今の時期、新人教育担当になった方から、よくこんな相談をされます
「基礎にどれぐらい時間をかけていいのか」
基礎は言うに及ばず、とっても大切です。
もちろん、基礎のしっかりついた人を採用すべきなのですが、自分好みに育てたい要望の強かった大企業の影響なのか、日本の教育機関はそのようにはできていないようです。(ちゃんとしているところもありますよ)
それに、学生時代の専門分野に就職するかどうかも分かりません。
会社に入ってから基礎を学ぶ事は決して間違いではありません。
まずは、会社に慣れること。勤めると言う生活に慣れること、人に慣れること。
つまり、環境の変化に慣れるということですね。
5月病は回避できましたか?
それから仕事に慣れること、もちろんはじめは基礎から……と言う話になったとしましょう。
このお話は、細かいテクニックではなく、長期的な成長プランです。
向いている職種もあれば、そうでないものもあるでしょう。
でも、きっと役に立つと思います。
|||「基礎にどれぐらい時間を使ったらよいのでしょうか」
この質問の内容を確認するために、まずは、二つの図を見てもらいます。
●ピラミッド型(みっちり基礎型)
ベースはしっかりしていた方が、より大きなピラミッドが出来上がります。
しかし、それには長い時間が必要となります。
●タワー型(とりあえず実践型)
ピラミッド型に比べ、短い時間で、ずいぶん高くまで上ることができます。
しかし、ひょろ長いので、横から押したら、すぐに倒れてしまいます。
基礎と実践のどちらを優先するか、この図を見てもらうと、だいたい、質問した本人が自分が何を迷っているのか自分で理解することができるようです。
自分が何に悩んでいるか分からずに質問してくる人が多いんですよね。というより、だからこそ人に聞くんだとおもいます。それで正解です。
何に悩んでいるか分かっている人は、大体自分で答えを見つけます。
悩みと迷いの違いと言ってもいいかもしれませんね。
|||企業はタワー型を望んでいる
たくわえが潤沢にある企業なら、どちらの選択肢も取る事が出来ますが、世の企業はだいたい、1秒でも早く、給与以上の収益を持ってきて欲しいと願っています。
ですので、だいたいタワー型を強いられます。
しかし、タワー型には欠点があります。
タワー型の欠点
・倒れやすい
・実力が付いたと勘違いしやすい
・基礎が大切だとずいぶん先まで気が付けない
5月病になりやすいのもタワー型でしょうね。学生のころはピラミッド型で勉強して来たのが、急に変わってしまいます。
どんどん、高い所へ上がって行くと、怖くなって、上れなくなってしまう事もありますし、倒れてしまうこともあります。
そして、十分高い所まで行ったあとには、実力がついた! と勘違い……天狗になっちゃいます。
天狗の鼻がへし折られる頃に、基礎がないと応用が利かないと気がつきます。
このタワー型の欠点は回避するために紹介したわけではありません。
この道を通る覚悟をして下さいと言うことです。
誰もが通ってきた道だと思えば、少々気持ちも楽になるでしょう。
安心して下さい。いい所もありますよ。
タワー型の長所
・早く自信がもてる。早く会社の利益に貢献できる。
あれ? こんなもんですかね? もっとありそうですが……。
|||シェフのお勧め富士山型成長法
ピラミッド型、タワー型の長所を生かして、富士山型というのをお勧めしています。
まずは、タワー型で毎日ひーひー言いながらがんばって下さい。
もともと、無理を強いられているんだと思えば、乗り切れます。
立ち上がれないことも、倒れる事もあります。
それでも、また、一段ずつ積み上げて行って下さい。
それで正解で、それでいいのです。
でも、ある日気がつくと、とても視界が良好になっている時が来ます。
高い所から見た景色は最高です。そのとき自信を持って一人前になれた!と思えるでしょう。(まだ、一人前では無いですけどね、そんな気になれます)
次に行うのは、タワーを更に高くする事ではなく、2本目のタワーを立てることです。
また、同じような苦労の日々が待っています。
でも、1本のタワーを立てた人は、上の景色を知っています。また見たいと思って上だけ向いて突き進めます。これを自信というのでしょうか。
|||3本の柱タワー型の応用
これは入社後3年から5年後のお話です。人により、個人差があります。
出来るだけ離れた分野に、3本の柱を立てて下さい。
職種によって変わるでしょうが、出来るだけ離れていた方が良いです。
例えば、専門分野が技術なら、経営と、営業を学んで見るとか。
もちろん、仕事に限らず、趣味を持つことでも構いません。その方が専門性から離れられますので、より良いと言えるでしょう。
そうすると、何が起こるかと言いますと、
間が埋めやすいのです。
下から見上げるよりも、上から見回した方が、はるかに早く、自信を持って基礎を穴埋めしていけるのです。
形がピラミッドに似てきましたね。
でも、ピラミッド型を続けるよりも、はるかに早く、同じぐらいの山が築けます。
そして、なぜ、富士山型と言うかと言いますと、
富士山は4つの山が重なって出来ています。
あの材質、あの形状では、こんなに長く、あの大きさのレベルで、あの形を保てないそうです。
富士山型火山の限界を超えているそうです。
下地があって始めて、世界一美しく、大きな山になれると言うお話しでした。
『新入社員トレーナー/トレーニーのための、育て方/育ち方』というタイトルでしたが、
お話したのは、
『限界を超えるほど、美しく大きな山になるための方法』
でした。
誰にもその可能性があります。そして、その誰もが、もがき苦しむ日々を経験しています。
その日は、今あなたが経験している今日と同じです。
トレーナーの人も、トレーニーの人も、その道半ばにいます。
だから、大丈夫。
上を見て積み上げて行きましょう。